公共DBを利用した研究は 「コロンブスの卵」である

2017-12-08T01:28:41Z (GMT) by Hidemasa Bono
<p>ConBio2017 ワークショップ 「いかにして『使える』データベースを維持し続けるか?」</p><p>--</p><p>我々は、生命科学研究を続ける上で、データベース(DB)の整備はまずやらねばならないインフラ整備と考え、10年前からDB統合化を本務として取り組んできた。現在では国際塩基配列データベースを運営しているDNA Data Bank of Japan (DDBJ) と連携して公共遺伝子発現DBの維持にも関わる一方、自らも公共DBを使った生命科学研究に取り組んでいる。それは、ただ「DBを作っている、維持している」だけでは実際に使われるDB(使えるDB)にならないからである。使えるDBを維持していくためには、自らがそれを使いこなし、それのエヴァンジェリストとして使われた事例を作っていくことに貢献すべきであろう。そこで我々は、DB統合化事業に関わる前から取り組んで来たきた酸素生物学の研究において、それを実践してきた。最初は学会や研究会で発表しても見向きもされなかったが、DBにデータ数が増え、DBが整備されてきた最近になって流れが変わってきた。その実例として、単純に公共DBから自らの研究に関係するトランスクリプトームシーケンス(RNA-seq)データを選び出し再解析して、実験のサポートとした研究を論文として公開した事例を報告する。さらにより多くの複数の研究グループから登録された公共DB中のデータを解析する「メタ解析」も並行して行ってきた。公共DBのメタ解析研究は「コロンブスの卵」であり、多くの人が興味を示すものの、単にコンピュータ上でデータ解析をするだけと表現されるが、実際にそれを成し遂げるには人手をかける必要がある。その実例として、低酸素刺激前後のデータセット(マイクロアレイとRNA-seq)を公共データベース中から選び出し、それぞれ同一条件でデータ再解析することによって、多くのサンプルで共通して発現変動が見られる遺伝子群を見出したメタ解析に関しても報告する。いかにして有用なDBの構築・維持・運用に寄与していけるのか議論するたたき台となれば幸いである。</p>